ハロプロ雑記

アコカツモジキ

アンジュルム「ドンデンガエシ」とRADWIMPS「会心の一撃」がソックリなので比較した

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「上手く言えない」の歌詞の事を書いたらこっちも書きたくなったので、アンジュルム「ドンデンガエシ」と、RADWIMPS会心の一撃」の比較を書きます。RADWIMPSのファンって訳ではないのですが、流石に歌詞すげーー!と思う曲が多いです。

この2曲はどちらも、運命の大逆転劇を描いてるという点で同じです。また構成もだいぶ似ており、比較材料としてとても良いです。昨日の「上手く言えない」と比べて、ドンデンガエシの歌詞はとても上手に構成されているように思います。星部ショウGJ。何様だって話ですが。

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文字が小さくてごめんちゃいまりあ。全体を見渡して、まず構成がほとんど同じことが分かります。ドンデンガエシの頭のサビを削ってお尻に付けたら、AABサABサササで同じになる。特別珍しい構成ってわけじゃないですが、比較しやすくて良いです。

どちらも最初のAでは、世界から自分がどう扱われているか、という描写があります。大逆転の布石として必要な描写。ドンデンはストレートに、会心は世界を擬人化して、より詩的というかテクニカルかなと。歌い手の個性に寄るところが大きいので、どちらが良いとかは置いときます。

2個めのAでも、共に「自分の描写」があります。ドンデンはストレートに燃えている。会心は自問。文学的。そういう意味で、ドンデンの方が「早く価値観の転換がある」と言えます。また会心ではここで「心」というフレーズを使っていることに注目です。次のBへの布石。

最初のB。ドンデンでは自分の決意を描いています。サビへの布石。会心では引き続き不遇な自分描写です。ただこの会心の自分描写はだいぶテクニカルです。まず「合格/不合格通知」という、現代のRADWIMPSリスナーのメイン層にとって敏感にならざるを得ない言葉を使っています。更に心を擬人化し「社会に出ることで、つまらない人間になるんじゃないか?」という青年期の一般的な不安へと、対象の拡張が行われています。

さぁサビが来ました。ここは比較としてとても面白い。まず描き方の手法が同じです。どちらも矢継ぎ早に明暗の言葉を並べ立て、コントラストを強調しています。ドンデンはストレートに、会心はトリッキーに。ただここまでの流れは、ドンデンのほうがちゃんと不遇→決意ときている分、スムーズです。会心はポジティブなイメージに唐突感がある。そういう意味で、曲の勢いやアーティストへの信頼感が必要となる構成。それが逆に、後半の明るいイメージ、カタルシスの予言のように機能していると思います。

サビ明けのA。ここが両者で最も違う箇所です。ドンデンは不遇な私と燃える私の再描画。ここまでのあらすじ。会心では、前Bでの一般化を受け、再度の自問自答。ただ一般化がなされている分、頭のAの「僕」とは違った、リスナー自身に響く「僕」となっています。「同じ言葉が違って聞こえる」というのは、僕の好物です。やっと決意する僕。

そして両者、Aを繰り返さず発展のBへ。スピード感ある構成。「武器に変えてやれ!」という、初めてにして唯一と言っていい「リスナーに向けた言葉」ととれる部分。投げかけるメッセージ。それが人生だ!力強い断定。かっこいい。会心でも「それが人生だ!」と言わないまでも、「どこに書いてあった?」と問いかけることで、書いてねぇだろ!という断定を投げかけています。ストレートとトリッキーの違い。

さぁ最後のサビラッシュ。ドンデンは2.2周、会心は3.5周という感じか。どちらもたっぷりと時間を使い、大いに巻き返します。カタルシスがある。狙いは同じ。ただ会心のほうが、最初のサビのカタルシスを封印して仕込みにたっぷり時間をかけてる分、大きなカタルシスにつながっているように思います。「大逆転の快感」とはまさにカタルシスの快感とイコールなので、よりテーマにふさわしい構成は会心の方かなと。無痛無臭無害無安打無失点…という紛れ込ませていた野球モチーフでまくしたてるのも遊びが効いてるし、結果MVも最高。あのMVほんと好き。あとヘルメット脱いだ女の子が痩せ茉麻ぽいのもグッと来る。

この構成の違いは、例えばドンデンはハーフサイズでもカタルシスを表現できるとか、全体的に言葉の勢い感を維持できるとか、その結果歌唱力表現力に依存する時間が少なくて済むといったメリットもあるので、どちらが良いという話ではないかと。どちらかと言えば僕は、一点豪華主義的な会心のほうが好きですが、どちらも構成が言葉を強化し、言葉に文字数以上の仕事をさせているという点で巧みだと思います。

ただ。

明確に「これはアンジュ曲にも欲しいなー!」と思った要素もあります。会心最初のサビ前Bの「対象の拡張」の部分です。これが有るから、結果歌詞が開いている。ドンデンは一般化への施策がほとんどなく、だから全体的に「アンジュルムの物語」として読めます。ミクロからマクロへの視点の変化に乏しい。それはイコール、リスナーを限定する事にも繋がります。 歌詞が閉じている印象。

つんく♂曲あるあるの「少女の日常がいつの間にか宇宙の話になる」というのも、この対象の拡張を見せるテクニックだと思います。歌詞の世界観をこじ開けるつんく♂の剛腕。歌詞が閉じていると、漫画BECKで言う所の「これは君の歌だよ」という境地に届き辛いのではないかと思います。それが絶対正義ではないですが、ポップの目指す星の一つでは有る。ドンデンはマイルストーン的な曲なのでこれで正解で良いのですが、今後の曲についてはチェックポイントだと思っています。